フクの咬み癖は矯正されない。要求を咬むことで示している感じで、最も表現したいことは「フクと遊べ！今、すぐ遊べ！」のようだ。例えば、私がテレビを見ていると、何の前触れもなくバババッとやってきて足をパクッ。普通に室内を歩行していただけなのに、後ろからダダダッとやってきてパクッ。

　我々が旅行するときにお世話をお願いするY子さんは「フクちゃん、もう咬まない」と言う。 それは、Y子さんが来ている時間はフクが百パーセントの注意を払ってもらえるからではなかろうか。要求が満たされていたら、咬んでお知らせしなくてもいいわな。私はそうはいかない。ネコがいるからといって、自宅内で通常の生活行動を止めるわけにはいかない。

　Y子さんは何匹もネコを飼ってきた人なので、躾けにも長けておられる。「この前、フクちゃんが口を出したら、こっちが舌をチチチって鳴らして止めるように教えました〜」とのことだったので、それをやってみた。抑止効果がないわけではないが、それは状況による。前触れなく足を襲われるときに、どうやって事前にチチチができようか。察知する暇がないではないか。

　フクはメンソール臭が嫌いとわかったので、ひと頃は、痒くなくても手足にムヒを塗るということもやっていた。メンタムも導入し、メンソール臭い飼い主になった。しかし、臭いは薄れ、塗り忘れ、夏になったので肌の露出部分も多くなり、そこをパックリ襲われるのであった。就寝中の襲撃に備え、メンタムをチョイ塗りした上で、暑くても手足を出さずに寝ている飼い主夫妻。

　ね？　オニもウチでしょ？　

　前に、「フクはバカかもしれない」と書いたが、自分にとって都合のいいことはちゃんと覚えるので、まるでアホでもないと思うようになった。では、何かというと、「フクはめげないネコ」なのだ。怒られても数秒後に立ち直り、今怒られていた人の足にスリッとする。切り替えがめちゃ早い。拒絶されてもドンマイなので、就職するなら営業職でいけると思う。メンタムに弱いがメンタルは強い。

　ところで、キッチンカウンター登頂禁止を教えるのに、現行犯で水をかけるというのをやっていたのだが、というか、未だにやっているのだが、フク、水をかけられてバババッと逃げる後ろ姿が、どうも楽しそうなのだ。この罰、TDLのスプラッシュマウンテンとか、USJのウォーターワールドとか、鴨川シーワールドのシャチショーとか、そういうアトラクションになってないか？　「ヤダーッ！！キャーッ！！ワーッ！！ヒャッホーイ！！」みたいな？

　あと、水がかかった部分をちゃんとナメナメしないで、濡れ毛がずっとそのままだったりするんだけど、フクにネコとしての常識はあるのか？

　フクは〜ウチ、オニも〜ウチ！　そいでもって、クチが〜サキ！　(~_~メ)