６月４日のことだった。洗濯物を取り込んでベッドの上に山にしておいて、しばらくしてから片付けに戻ったら、濡れていた。タラがオシッコをしたのだった。

　「乾いたばかりの洗濯物がフワフワしていて、それをカキカキしたらトイレの気分になったかな？」と思った。今度から洗濯物はさっさとたたんでしまおう。フトンやらシーツにも染みてしまい、もう夕方だというのに再び洗濯機を回すハメになってしまった。

　その４日後、再びベッドにオシッコをした。また、大量の洗濯物をして、一息ついたところで、同じところに二度目をした。もはや洗濯が間に合わない。干し場もない。前回とは違い、取り込んだ洗濯物が山になっていたわけではなかった。とりあえず防水だな。ベッドの上にピクニックシートを敷くことにした。

　そもそも、タラはトイレの粗相がないネコであった。この１５年で一度だけフトンでやられたことがあるのだが、その理由は、私がネコ砂を変えたことであった。意思表示がはっきりしているヤツだった。即、砂は元のものに戻させていただいた。ネコはストレスをそういう形で表すことがある。今のタラは、思うようにならない自分の身体がストレスなのだろうと思った。タラ、辛いなあ。

　その後、三日連続でベッドのピクニックシートの上にオシッコの水溜りがあった。これらは日中のことで、人間が寝る時にはシートを外していたのだが、夜中に人間入りのベッドでやられる日も近いと思った。

　すでに二つあるネコトイレだが、ベッドの脇にもう一つ設置した上で、寝室はもうタラに明け渡すことにし、人間二人は別の部屋にフトンを敷いて寝た。居場所として、寝室に執着があるようなので、ゴハンと水もこちらに運ぶことにした。六畳の個室に入院、人間だったら差額料金がすごかろう。

　この頃、ペット用品売り場でいい物を見つけた。スポンジでできたネコ用ブラシ。骨が浮き出た身体にもやさしくて、毛もよく取れる。ペット用のお手入れスプレーも買った。それをシュシュッとしたタオルでボディを清潔にしてやって、その後、スポンジブラシで優しくゴシゴシしてやる。タラは小さなゴロゴロ音を出して喜んだ。しんどい日々の小さな癒しになったと思う。ネコにとっても、飼い主にとっても。

　ペットシーツも買った。どこに敷くかというと、人間ベッドのピクニックシートの上である。ピクニックシートにオシッコすると、染み込まない点が寝具にはいいが、ネコの脚が濡れる。それを自分で舐めてきれいにする余力はない。この買い物も正解だった。ベッド一つにつき三枚並べ、濡れたシートからどんどん取り替えた。

　ウンコの方はお砂箱にしていたが、二回ほど場外にコロンと落ちていた。タラ、いろんなことがうまくいかないなあ。

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