３月に、拙宅において、部屋の用途変えをした。それに伴って、ネコトイレの位置を動かす必要があった。これまでは玄関脇の洋室にあったのだが、その部屋を別の目的で使うことにしたので、タラのトイレをどこに持っていくかが問題となった。寝室にという考えもあったが、実のところ、軟便は相当臭い。直後は目が覚めるような臭いである。人間の安眠が望めないので、それはやめといて、ネコトイレは納戸に移すことにした。うちの納戸はそこそこ広い。二畳半くらいあって、タンスとか季節のものとか、もろもろが収納されている。納戸へのドアにネコドアをつけて、中にお砂箱を置けば、ネコのプライバシーが確保され、尚且つ、臭いが漂うのをブロックできるというグッドアイデア♪

　私は用意周到な脅迫性格なので、毎度のことながら、物事を前倒しに準備していく。まず、タラの使っているネコ砂なのだが、鉱物系で少々ホコリがひどい。これまでのトイレ位置だと、本棚の上にホコリが積もるくらいで、そう気にしていなかったが、納戸の中には、衣類や飲料ストックもあることだし、その上にネコ砂のホコリが積もるのは嬉しくない。事前準備として、砂の種類をホコリが出にくいものに変えて、それに慣れていただくとしよう。「木の砂」とやらを買ってきて、ネコトイレに入れた。最初から砂を全取っ換えすると嫌がるかもしれないので、これまでの鉱物系の砂にちょっと混ぜてみて、様子を見ながら、比率を増やし、しばらくしてから、新しい砂１００パーセントにした。よっしゃ。

　その二日後、布団の上にやられた・・・・。季節柄、羽毛布団であった。普通のネコのように固いカリントウのようなブツならまだしも、タラっちスペシャルであったため、茶色い水分が中まで浸みた。カバーを外して洗濯機にブチ込み、羽毛布団をお風呂で押し洗いする私。こういう時につく悪態は、文字通り「くっそ〜！」が合う。

　ネコの実力行使に負け、猫砂を変えることは断念し、納戸の一部にホコリよけカーテンを吊るす。最初からこの方策にしとけばよかった。それでなくても、部屋の用途変更に伴う工事に耐えてもらわねばならぬことだし、タラネンコに余計なストレスをかけてはならなかったのだ。ネコの気に入らないことをやって最終的に痛い目をこくのは飼い主だし。

　実を言うと、今回の工事は、昨年三月の震災の後始末の意味もあった。あの地震のとき、自宅が高層階にあるためしっかり揺れて、本棚が崩壊するわ、左右に振れた温水器がぶつかった勢いで壁に穴が開くわ、であったのだ。この一年間、本は段ボールに入りっぱなし、壁は穴が開きっぱなし。

　そんなわけで、壁の修理から、新しい本棚を壁に固定等の作業等も含め、職人さんの出入りが続くこと一週間。飼い主もストレスがたまった。タラは職人さんが出入りする時間帯は気配を消すのがパターンで、そこの対応は割と楽だった。あちこちの部屋に作業が入ったので、数日は納戸にも閉じ込められた。その間、納戸に増設したネコトイレにお砂の塊を生産していたので、ま、それなりに大丈夫かと思ったが、大の方は、夕方以降、職人さんがいなくなってから元の位置にあるネコトイレでしていたのは、彼の神経質さの表出だったのだろう。ネコ的には、小より大の方が無防備なことになるので、安心感が欲しいのだと思った。

　工事が終わり、家具や物の移動も終わった。タラは新しくなったネコドアの使い方をすぐに理解した。これまでの手製のものと違って、プロが取り付けただけあって、見た目が良い。フラップの下にマグネットがついているので、開いたらきちんと閉まる。プラプラしない。残る課題は、タラが納戸で大も小もしてくれるかどうかである。性急にコトを進めて、再び布団洗いをするはめになることは避けたい。ネコトイレは当面二個とし、一つは目的地である納戸内に置き、元のトイレを少しずつ納戸方面にずらしていく。ずるっ、ずるっ。

　タラは二つのトイレを併用した。だが、納戸にあるのが小便器で、廊下を移動中の古いトイレが大便器であった。このパターン、前にもあったな・・・。くっ。タラが納戸内で大をするようになったら、古いトイレを片づけよう。焦るまいぞ、焦るまい。

　人間の方はマンション内の新しいアレンジがなかなか快適であった。用途変えに伴い、これまで畳敷きであった寝室が洋室になって、ベッドで寝るようにしたのだが、なんだか自宅にいるのではなく、どっかに泊まりに来たような気分であった。ベッドカバーも新調しておしゃれ仕様に。が、このベッドの上で、タラによって何事かがなされると困るので、当面、留守をするときは境の戸を閉めるようにした。ネコ用心、ネコ用心。

　私は毎日、二つのネコトイレを、ホコリをたてながらザクザクと掃除した。ああ、今日もこっちが大便器、あっちが小便器。いつになったら廊下をさまよう古いネコトイレを片づけられるのか？　今回のリフォームが最終的に成功となるのか失敗となるのか、すべて、ネコの気分次第。

　それからおよそ三週間経ち、納戸内のトイレに大を発見したときは、その柔らかめのブツを拝みたい気がした。タラ、順応してくれてありがとうよっ！う〜ん、これまでの苦労が報われて感無量。おまえは本当にいいネコだ、うん。

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