２５ 悪役商会
ホームページもしかり。うちのサイトはポン太だけでは成り立たない。
「こんないいネコがいました。死にました。次のネコもいいコでした。めでたし、めでたし」
それでは固定客は掴めまへん。ハイ、うちはタラあってのサイトです。ポン太で泣いた後に、タラで呆れる。噛まれっ放しのサエコポンを哀れみ、妙な顔のネコ画像を見ては、ちょっと優位に立ち、親しみすら覚える。お気に入りに登録。毎度あり～、また、お越しやす～。
タラにはタラの役柄がある。本人も熟知しているようで、改心の兆しすらない。飼い主はこの二代目の外見と中身に調子狂ったものの、デキの悪いコには苦労をかけさせられる分、なんだか余計な執着心も湧いてしまう。なんの因果でこんな強烈な性格に生まれてしもうたのか？その陰険な目はなんなのさ？アンヨのズレはなんなのさ？うちのコになれてよかったね。あたしゃ、根っからのネコ好きだからね。ネコなら、なんでも好きだよ。よかったね。
ところで、ご老公が、もとい、ご隠居様がタラの肖像画を描いてくださることになった。先日、私がご隠居様運営「猫の肖像画舘」において１７万番目の通行人になったからである。さて、ここで悩むのが、元画像の選択である。肖像画なのであるから、やはり角度のせいかなにかで、奇跡的にハンサムに撮れた写真を差し出すべきなのか？でもそれではタラがタラらしくなかろう。やはり「噛み画像」か？だが、それでなくても拙宅への訪問者をビビらせているタラだ。そんなものをリビングに飾っては鬼に金棒。
ん？
悩んだ末に、身体が少しズレて、脚が東京タワーな写真を選んだ。顔もタラらしく、小さい目が「俺って、どうしてすぐ噛んじゃうんだろ？」とでも言いたげ。身体が筋肉質なことも見てとれる。
それを黄門様が、もとい、ご隠居様が見事に絵として写し取ってくださった。このネコの肢体も性格も、肖像画の一本一本の線にて再現された。感服である。
製作過程②→
ポン太の肖像画が届いたときは涙ぐんだ私であったが、タラの肖像画の梱包を解いたときには笑ってしまった。
「あっはっはっ。タラじゃ～、こりゃ、タラ以外のナニモノでもないぞ～。だっはっはっ」
噛まれるだけの人生でなくてよかった。
それでは皆様、どうぞご唱和ください。
ジャン、ジャッジャッジャッ、ジャン！ジャン、ジャッジャッジャッ、ジャン！
はい!!
♪じ～んせい、苦～もありゃ、楽もある～♪
