第三十六話 続・日本海へ ①
最初に
昨年の９月に東京から日本海に抜けて右折する三泊四日のドライブ旅行をしたら、なかなか面白かったので、今年は日本海に抜けて左折する三泊四日をやることにした。企画をしたのは春頃で、その時点でもガソリン代は高かったが、そこからまたガーッと上昇したのには少々ビビッた。しかし海外に行ったって燃油サーチャージをガッポリ取られるわけだし、ま、うちの車は燃費がいいし、開き直って計画を実行することにした。
出発の少し前に、当サイト内の掲示板にて、広く情報を募集したら、たくさんの反応があった。「あれを食べなさい」「これを買いなさい」「その予定はきつくないですか？」等。旅の情報誌には載っていない生の意見は常に面白く、参考になった。そこで恩返し。またクイズをやって皆様の中より当選者に旅のお土産を差し上げようと思う。
今回は題して「ガソリン代ハウマッチ？」。東京を出る直前に満タンにし、道中で給油したレシート並びに帰京した際に満タンにしたレシートを合算して、さあ、いくら？ 掲示板上で開催するので、どうぞお気軽にベットしてね♪
プロローグ：出発前
出発前、私は超多忙だった。旅行の準備と平行して、仕事の固め打ちもあった。事前にやるべきことを箇条書きにして、終わったことから消していっていた。そのやるべきことのひとつに車の点検があった。遠距離ドライブの途中でトラブッてはいけない。
出かける三日ほど前、ガソリンスタンドに行った。
「満タンね。あと、長距離に出るので空気圧とか、エンジンオイルとか、バッテリーとかチェックしといてもらえます？洗車もお願い」
店内で待っていると、お兄さんがやって来た。
「エンジンオイルは量はありますけど、色が悪いですね～。交換時ですよ～。あと、タイヤは溝はオッケーですが、ゴムって経年変化で劣化しますから、換えた方がいいですよ。サイドにヒビがあります。高速でバーストすると大変なことですし～」
そのお見積もりはそうとう高かったので、「高い～」と正直な感想を言うと、お兄さんはこう言った。
「ええっと・・・、オートバックスさんとかに行くともっと安いです。でも、そっちの値段を言ってもらえれば、うちでもその値で行きますから」
それなら、それで最初から同じ値段というか、むしろ、そっちより少し安い設定にしてくれれば手間が省けるが、物事はそうスムースにはいかないらしい。ヤマダとコジマの戦いみたいだ。「タイヤがバースト」にはかなり脅しが入っている気がしたが、もうじき五年目の車検が来るし、どうせそのうち交換しないといけなくなるのなら、今でもいいかもしれない。翌朝１０時過ぎに、オートバックスへ出向いた。そしたら、シャッターが下りていた。この店の開店は１１時だった・・・。仕事が詰まっていたので、１１時に出直すのはもう無理だった。タイヤ交換は時間切れでギブアップになった。
出発は朝６時ということにしていた。前夜、ネコと植物の世話を頼むＭ子ちゃんに家のスペアキーを持って行く。作った荷物は玄関に置き、車の中で食べる予定の朝食用サンドイッチと飲み物を袋にまとめて冷蔵庫に保管。目覚ましをかけて早めに床にについた。
９月１５日早朝、オットと私は荷物と傘を持って、眠たい目をこすりながら車を置いている月極駐車場へと歩いた。そしたら、うちの車が消えていた。
「は？ タイヤが？バースト？ 新しいタイヤはいくらかかりますか？」
「お見積もりします」
旅行には天気が大事だが、週間天気予報は最悪だった。その頃、台風が石垣島あたりを襲っていて、それが日本列島を直撃する可能性があるという。行き先の天気予報をネットで調べ、並ぶ傘マークに盛り下がる。でも、ここまで頑張って調べて、コースを決め、宿を予約して、予定を作ったからには行かねばならぬ。休みを取ったからには、今、行かねばならぬ。