姫路駅前でレンタカーを借りて、姫路港へ走った。 前もってネット予約をしておいたが、 チケット売り場で車検証を見た係員さんに「全長４０５センチですね」と言われる。 フェリーのカテゴリーで４メートルを超えると料金がアップするのであった。 ５センチのために追加料金１７５０円が発生してしまった。

　料金話のついでに書いておく。今回、レンタカーは姫路で借りて岡山で返すので、 数千円の乗り捨て料金が発生する。そして借りたアクアには岡山ナンバーがついている。 これって、私らがお金払って姫路から岡山に車を返送させられているのではなかろうか？ 運送代を貰ってもいいような立場ではなかろうか？

　そんなアクアと我々を乗せ、穏やかな瀬戸内海をフェリーは順調に進んだ。 一時間半くらいで小豆島の福田港に着いた。小豆島にはいくつも港がある。 福田は民家少なめで割と地味な感じがした。

　福田から海岸線を南下し、「南風台」で一旦停止した。 ここに干潮のときだけ出現し、向かいの城ヶ島へと歩いて渡れる 「希望の道」というスポットがある。急な崖を下って海岸へと降りてみた。 残念ながら砂州は海面下の時間であった。 渡れる砂州はもっとメジャーな場所を予定しているので、ま、 これはこれで良いとし、崖をよじ登って駐車場に戻る。

　更に１５分くらい走って（小豆島は一周３時間くらいの大きさなのでスポット間は近い） 「二十四の瞳映画村」に着いた。小豆島出身の坪井栄さんが書いた小説 「二十四の瞳」は何度も映画化されていて、 そのうち比較的最近のセットや映画関連展示場に入れる。

　物語では、若い女性教師が岬の分校に赴任し、１２人の小学一年生と出会って心を通わせる。 時代背景が第二次世界大戦の前後で、 それぞれが過酷な歴史や貧しい生活に翻弄されつつ人生を懸命に歩んで行く感動作だ。 私は新幹線の中でこの本を読み始めており、まだ途中だが、一応の背景は理解していた。

　お昼どきなので、映画村内のカフェに入った。メニューに 「学校給食」というのがあった。私らは注文しなかったが、 臨席のカップルが食べていた。瓶入り牛乳に揚げパンにカレーみたいなラインアップ。 映画で使った教室はノスタルジックな佇まいで、窓から海が見える。観光客は多い。

　その後、海岸線を更に進んで、土庄にある「小豆島国際ホテル」にチェックイン。 瀬戸内海ビューの大きな窓がある部屋に入った。すぐそこに有名観光スポットである 「エンジェルロード」が見える。これも干潮の時だけ向こうの小島に歩いていけるのだが、 もう本日の渡れる時間は終わりつつあって、サンドバーの真ん中あたりはすでに海に沈んでいる。 そこをスカートやズボンをまくり上げて渡っている強者達が見えた。 我々は翌日の干潮で渡る予定なので無理をしない。

　古いホテルのようだが、改装されていて今風なインテリアになっていた。 広い洋室の中に少し床が高くなっている四畳くらいの畳スペースがあって、 ツインベッドが置いてある。そのベッドスペースの真上にシーリングライトがあった。 これを点けようとスイッチを探したが、どのスイッチを押してもハズレなので、 フロントに電話して尋ねた。すると「ベッドの上にある丸いものは照明ではありません。 インテリアでございます」と言われてのけぞる。

　丸くて白くて天井にぴったりついてて、シーリングライトにしか見えない・・・。 ベッドサイドなどに別のライトはあるものの、 部屋のメイン照明だと思ったものが「インテリアでございます」だったので困惑。 ちょっと暗いまま「二十四の瞳」の続きを読んだ。

　この部屋から見た瀬戸の夕陽が素晴らしかった。

　ここの夕食はレストランでの会席だった。会場が広くて、 キャパの大きい宿であることがわかった。 小豆島の名産と言えば、そうめん、オリーブ、醤油の三点である。 コースの中にセルフサービスそうめんがあった。 提供されたお刺身につけるお醤油が三種類も小皿に入って来たし、 オリーブ風味の何かも出たし、デザートはお醤油風味のプリンだったりもした。 小豆島を味わってもらおうという心意気は伝わった。

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