１１月２９日、土曜日、東京から新幹線に三時間ほど乗って、姫路で降りたのは昼過ぎだった。 これまで何度も山陽新幹線に乗ったことがあるが、姫路下車は初めて。 今回の旅行は小豆島がメインだが、この際、姫路を経由してお城も見るという計画だった。

　姫路駅直結という話のホテルモントレ姫路が見当たらなかった。 駅構内をウロウロしたあげく、 セブンイレブンの店頭で何らかの宣伝活動をしていたお兄さんに 「ホテルモントレはどこですか？」と尋ねてみた。セブンの制服を着た彼は 「こちらですよ」と歩き始めた。指さしか口頭説明でよかったのだが、 お兄さんはスタスタと先導し、駅の角で「あの建物です。 一階に○〇が入ったビルです」と、にっこり微笑んだ。 業務外のお手数をおかけしてしまって恐縮した。姫路、第一印象爆上がりである。

　チェックイン時間にはまだ早いので、フロントで 「荷物だけ預かってもらえますか？」と言ったら 「用意のできている部屋がございますので、お入りいただけます」 とのお返事。姫路の印象は更に上がった。

　部屋に荷物を置いて、さて姫路城へ。 歩けば２０分の距離で、お城は大通りのまっすぐ向こうに見えているが、 お城見物には脚力が必要と聞くので、エネルギー節約のためにお城入口までタクシーを使う。　 運転手さんが「お客さん、どちらからですか？」から始まって 道中ずっと観光案内をしてくれるのだった。姫路、ホスピタリティ有り過ぎ。

　来たぞ、世界文化遺産、国宝、姫路城。威風堂々の白亜の大天守を見上げ 、その高低差を実感し、「この高さ、ほとんど登山ではなかろうか？」と不安がよぎった。 建物に至るまでの道も、敵の攻めに強いウネウネした登りで、天守閣はそびえる六階建て。 築城から一回も燃えてないので、仕様が１３３３年のまんま。 木造階段は狭くて険しく延々と続くのであった。土曜日なので観光客は多い。 もしそのうちの一人が階段を踏み外して落ちたら、その後ろも雪崩のように落ちること間違いない 。注意しながら登った。ハアハア言いながら一番上まで来て、小さな窓から姫路の町を見下ろした。 達成感はある。

　その木製階段をソロソロ降りて下界に戻った。 城内に「お菊の井戸」があった。例の播州皿屋敷の井戸らしい。 途中の土産物屋に「お菊せんべい」を売っていて「九枚入り」とあって笑った。 これを買ったら「一枚〜、二枚〜」をやらんといかんだろうな。買わんけど。

　姫路の観光と言えば、姫路城で始まり姫路城で終わる。 言い換えれば、それ以外に目ぼしいものは無い。 城と駅を結ぶバーンとした大通りを散歩しながらホテルに戻った。

　夕食は近くの藁焼きの居酒屋に入った。カツオやタンの藁焼きは良い香りがして美味しかった。

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