不調の人は低空飛行である。この日は名瀬のホテルでゆっくりしてから、 空港の近くまで戻っていくつか観光。

　最初に「奄美パーク」にやって来た。 博物館と美術館の合わせ技になった大規模施設である。 私はここの「田中一村美術館」を是非見たかった。 オットはそもそも美術館に興味が薄いので「車の中で寝ている」と言う。

　田中一村は栃木県出身ながら、 晩年は奄美に移り住み、大島紬の工場で働いて画材を買っては奄美の自然を描いた画家である。 植物画っぽい作品もあって、見ごたえがあるのだが、 駐車場に置いて来た人のことが気になる。

　館内を早足で一周して戻ったら、 車が空だった。携帯で呼び出してみたら、 本人も施設を見学しているのだと言う。 ちょっと調子がいいみたいだ。合流して他の展示もグルッと周った。

　次に「あやまる岬」に行った。 「あやまる」は「綾織の毬」という意味の方言なので、 特に誰かが謝っているわけではなく、 美しい奄美の海を俯瞰できる岬である。 青い空、サンゴ礁の海、遠くに霞むのは喜界島だ。

　カフェがあったので、テラス席で軽食を摂った。 ここのハンバーガーは歯科治療中の口では食べづらいという問題はあったが、 ポークとマッシュポテトが挟まっていて美味しかった。

　海の見える開放的なカフェというロケーションなのに 「不調原因の正体」への懸念が離れないため、 何事も心から楽しめない。実に怪しい。 そして同じ空間に三日間いた私はどうなる？

　最後に「土盛海岸」に寄った。車を停めたところから、 茂み間にある小径を抜けると白砂のビーチが広がっていた。 誰が写真を撮っても絵はがきレベルになる美しい海なのであった。

　 　ところで、奄美大島のメイン道路はとてもよく整備されていた。 奄美振興開発の交付金がどっさり出ているようで、 驚くほど長いトンネル（全長三キロとか）がいくつもある。 運転交代が途中から無くなったので、いい道路をみっちり運転させていただいて、空港に戻った。

　レンタカーを返し、15時発の直行便で帰京。 翌日、オットは近所のクリニックへ。懸念は大当たりで、 コロナ陽性決定。オミクロン株になってからのコロナは、 潜伏期間が三日ということなので、 奄美に出発する前に東京のどっかでウィルスを拾ったことになる。 オットの症状はもうピークを越えていたが、懸念した通り、 帰宅した翌々日には私が喉の痛みと発熱に倒れたのであった。

　奄美旅行は終わった。(-“-)

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