車に戻り、房総半島をもう少し南下して、勝浦市鵜原（うばら）に来た。 「鵜原理想郷」という大きく出たネーミングの地域に、全長2.3キロのハイキングコースがある。 リアス式海岸のデコボコした深い入り江を縫うように歩く趣向。

　ハイキング起点の駐車場には、車が三台しかなかった。現在、 歩いているのは三組だけということになる。思いっきり疎。 看板でコースを確認して歩き始めた。

　最初のあたりでくぐるトンネルが、 狭くて、暗くて、遠くに光る出口には違う世界が拡がっているのではないかと思わせる禍々しさであった。 アニメの「千と千尋の神隠し」で、冒頭、引越し途中の三人家族が迷い込むトンネルの感じ。 尚、コース内にはこんな手掘りのトンネルがいくつもある。

　もちろん、トンネルが異界に繋がっているわけはなく、くぐり抜ければ、 向こう側にも遊歩道が続き、自然たっぷり。清々しい。明日から12月だが、 南房総は穏やかな天気で、まだ紅葉もしていなかった。木々の合間から海が見える。 切り立った崖があれば、きれいな砂浜もあって、飽きない景色の中を歩くと、 最後のところで小さな漁港に出た。すぐそこが元の駐車場。約一時間の散歩で、 高低差が若干あるものの、そう大変ではなく、いい運動。トンネルで起伏を解消しているおかげだと思う。

　面白かった！

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