ベガスのホテルには、様々なアトラクションがある。ATTRACTIONとは「人を引き付けるもの」という意味だが、アメリカなのにパリがあったり、ベニスがあったりという満艦飾な町が出来上がったのは、一重に「より多くの人を我がホテルにアトラクトしよう」という努力の結果だ。各テーマホテルには、そのテーマに沿った見せ物があったりする。有料なものも無料なものも含め、私が目にしたアトラクションの中から、主なものをピックアップし、主観で採点してみたい。費用対効果も加味してみた。

�@ シャーク・リーフ　（入場料：１５ドル）

　マンダレイベイ・ホテルにある水族館である。他の魚もいるが、ここでの見所はサメ。展示方法がいい。赤ちゃんザメにさわれるタッチ・プールで、はしゃぐもよし、巨大な水槽を貫通するガラストンネルの中で唖然とするもよし。恐ろしい口元のドアップに背筋が凍り、脳内ではジョーズの効果音が流れる。陰険な目つき、尖った鼻先。毎度のことながら、サメを見ているとタラを思い出す。

　砂漠の町でサカナ見物もオツであった。入場料がちょっと高いが、ダイナミックな見せ方なので、モトをとって、ややお釣りが出たなという印象。　プラス１点。

�A　ツタンカーメン博物館　（入場料：９．９９ドル）

　ピラミッド型のホテル、ルクソールにある。ここには他にもライドや体感型の劇場があるが、ツレの腰に響きそうなことを避けたため、博物館だけに入った。ツタンカーメン王の墓を忠実に再現したというふれ込み。キンキラキンの棺とか王座とか様々展示してあるが、所詮、ニセモノなので有り難味が感じられない。古代のロマンが感じられない。インチキ臭さはこのホテル全体に感じられ、歴史と文化への冒涜とすら思えた。ピラミッド天井部分から大きな星条旗がぶら下がっていたのが、極めつけ。なんかムカつくわ。「金返せ」と思った。マイナス１０点。

�B サイレン・オブ・ティーアイ　（無料）

　宝島がテーマのT.I..（トレジャーアイランド）で夕方から四回くらい行われる派手なショーである。ストリップに面したところでやっていて、混みあうのが難点だが、よくまぁ、これをタダでやるわと思わせる内容。セクシー女性群と海賊に扮した男性陣が戦うのだが、歌あり、踊りあり、爆発あり、放水あり。最後に花火まで上げてくれる。一ステージ２０分。すぐそばにフローズン・マルガリータのスタンドがあったのもナイス。USJのショーを無料で見たようなお得感で、プラス７点。

�C アイフル・タワー・エクスペリエンス　（９ドル）

　パリスには、２分の一スケールのエッフェル塔がある。本物を見たことがないが、これはこれで充分デカい。夜景を見るには絶好の展望台である。上部のキャパに限りがあるためか、待ちの列は結構長い。パリの街を模した空間で賭け事に励む人々を眺めながら、エレベーターへと進む。途中に「グループごとに皆さんの写真を撮っています〜」というカメラのお姉さんがいた。あとで画像が展示されて、気に入ったらご購入というパターンかと思ったら、テロ対策だった・・・。私、笑顔にピースで写ったのだがね。

　鉄塔の枠の間から見下ろすラスベガス。パリスはストリップの真ん中あたりにあるので、右を見ても左を見てもイルミネーション、地球の丸みすら感じることができる。眼下にはベラッジオの噴水がある。夜間は１５分間隔で音楽と噴水のショーがあるので、それを堪能。

　このアトラクションはアイフル・タワー・エクスペリエンスと名付けられているが、「本家本元より、ちょっと低いですけど、エッフェル塔の気分、体感してってくださいね♪」という主旨か？　星条旗とフランス国旗が並べて掲げてあった。派手なのに謙虚でよろしい。プラス５点。

�D ライオン・ハビタット　（無料）

　MGMグランドのカジノ脇でライオンが飼われていた。立ち並ぶスロットマシンの３メートルほど先にガラスで囲まれた部屋があり、数頭のライオンがデレンと寝ている。トンネル状になったところの上にもいるので、寝ているライオンを真下から観察できたりする。肉球がハンパではなくでかい。ネコ科の動物は大小を問わず好きなので、間近で見られたのは有り難かったが、百獣の王をカジノのおまけみたいに扱うのは、いかがなものか？　留守番のタラにしばし思いを馳せる。セッティングに疑問は残るが、無料なのでプラス１点。

�E シークレット・ガーデン　＆　ドルフィン・ハビタット　（１５ドル）

　ミラージュでは、イルカとホワイト・タイガー＋ホワイト・ライオンがセット展示されていた。入るとすぐにイルカのプールがあるが、ここのイルカは何もしない。見るだけ。生態研究のための施設という話だが、それなら金とるな。

　つまらないので、さっさと奥のシークレット・ガーデンへ。白いトラがいた。迫力だ。人の通路とトラのケージはとても近く、手を出せば食われそう。しばらく歩くと今度は白いライオンがいた。かっこえ〜！　ケージは二つに分かれていて、こっちの檻はオスメスつがいだが、あっちの檻はオス一匹だけ。MGMのライオンより、多少居住スペースが広く、岩や木の間をウロウロと歩き回っている。かつてマジック・ショーで使われていた動物達なのだが、演技中に人を襲うという不祥事を起こし、今ではただの見世物となっているらしい。うちのタラも、もう少し後先を考えて行動したほうがいいと思う。独居オスの方が挙動不審だなと思ったら、突然のスプレー行為。通路でワイワイ言っていた少年二人がしっかり浴びてギャーギャー騒いでいた。スプレーは真横に飛ぶのだよ、少年達。

　トラとライオンは見るだけでも面白いが、芸のないイルカはどうしたもんだか、ということで、入場料は半額が妥当。マイナス７点。

�F サーカス・アクト　（無料）

　サーカス・サーカスのカジノ・フロアの二階には、３０分間隔で興行するサーカスがある。小さなステージの前にベンチが並んでいて、自由に出入りできる。一回分の演技が１５分くらい。綱渡りのおじさんとアクロバットのお姉さんの二回分を見た。おじさんは、ロープの上で額に汗しながらバランスをとりつつ、頭の上にお皿を重ねていく。お姉さんの方はテカテカの赤いガウンをまとって満面笑顔で登場し、パッと脱ぎ捨てると下は白のレオタード、スパンコール付き。前日にシルクを見ているので、比較すれば、こっちはダサダサだが、本来、サーカスとはこのようなものである。

　このステージの周辺には、子供向けの輪投げや射的みたいなものがズラリと並んでいて、縁日的状況が出来上がっている。賞品の縫いぐるみを狙って子供達も真剣だ。幼いうちに射幸心を育て、先々は下のフロアで本格的にギャンブルをやっていただこうという遠大な計画と見える。稚魚の放流か？ビジネスというものを無料で勉強させていただいたので、プラス５点。

　足して〜、引いて〜、ええっと〜・・・・・全体でプラ２か。
　それでもまぁ、勝ちは勝ち。

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