今年の３月にピンク色の封書が届いた。高校の同期会のお知らせだった。早速に「出席」にマルをつけたハガキを返送し、これを機会に「もう一度会いたい人」と「もう一度行きたい場所」を考え始めた。勢い余って「るるぶ：岡山県」まで買ってしまった。ブランクが長すぎて浦島状態だったもので、予習が必要だったのである。

　高校の同級生には幹事の皆様のご尽力でかなりの人数にまとめて会えると思ったが、それ以外は自分で連絡をとらねばならぬ。住所すらわからなくなっている人もいる。でもググれば出てくるものなのよね、今の時代。連絡を取り、会える人とは時間と場所をセット。

　５月２４日、早朝の新幹線に乗り、お昼前には岡山駅に着いた。久々に桃太郎像を眺めたあと、駅レンタカーで足を確保し、岡山市内にあるかつての職場の岡山本社へ乗りつけた。玄関で元上司のSさんを呼び出す。S氏は現在６５歳、会社の成長と共にトップに昇りつめ、昨年から相談役という結構なご身分になっておられる。廊下をやってくるニコニコ顔の白髪まじりの小柄なオジサン。Sさんだ〜〜〜！！

　Sさんは昔と全く変わっていなかった。当然、年齢が上がった分、見た目は年輪を重ねておられるわけだが、人間のありようが全く同じ。当時も上司というより、ちょっと年が上の職場のお友達みたいな、権威を振りかざさない楽しい人だった。月日が経ってもそこが同じ。しゃべり好きなところも同じで、かつてこの会社の黎明期に起こった様々な事を懐かしげに語ってくれる。応接室でSさんとワイワイやっていたら、「失礼します」と女性が入って来た。Hさんだ〜〜〜！！

　Hさんは私が後に配属されていた倉敷支部の上司だった。気持ちのやさしい、だが、凛としたところのある人だった。少し身体が悪いのだそうだが、時間限定で本社にて勤務しておられた。SさんとHさんと私がしゃべっていたら、また「失礼します」が聞こえ、女性が二人入って来た。YさんとWさんだ〜〜〜！！昔、同僚だった〜〜！！この二人は本社にて勤務中のところを相談役S氏が呼び出してくれたのであった。あと一人、Iさんという元同僚にも連絡が取ってあったのだが、彼女は仕事の都合で別の場所にいて、どうやら席が外せないらしい。惜しい。

　私は大学を出たあと、某アパレル会社に勤めたのだが、そこでの業務が実に体質に合わず、わずか九ヶ月で辞めて、求人広告で見つけたこの会社にやって来た。スタートして半年ほどの小さな会社の就職面接で「はい、採用！」と決めてくれたのが、この相談役Sさん。そこから私の仕事は語学関連へとシフトして行った。大きなターニングポイントにいてくれた人々、一人一人に、これまで言い損ねていたお礼を言った。ここにももう一度書いておこう。

　「ありがとうございました。私は普通の会社のOLは無理でした。ここで拾ってもらえて、大事にしてもらい、自信をつけて、そこから先の職業を維持することができました」

　一時間半ほどの滞在の後、レンタカーのナビをセットし、岡山県玉野市へと向かった。